不動産・建設業界における企業弁護士の業務

分譲、賃貸、仲介、管理業務を総合的に行い、不動産価値を高めようとする企業が増える

不動産・建設業界では、かつては土地は必ず値上がりするという土地神話に基づいて、取得した土地を転売して利益を得るというビジネスモデルが一般的でした。しかし、バブル崩壊後は、不動産価値をいかにあげるかということに主力が移っています。
不動産・建設業界では、土地を取得して造成し住宅を建てて分譲する、オフィスや住宅の賃貸を行う、オフィス・住宅・土地の仲介を行う、賃貸ビルやマンションの管理業務を行うという主に四つの業務がありました。従来これらの仕事はそれぞれに棲み分けられていましたが、近年はこれらを総合的におこなってよりその不動産価値を高めようとする企業が増えてきました。
築年数が経過して不動産価値が下落した物件にリノベーションを加え、全く新しい価値を付け加えて価格の上昇をはかり、賃貸料を高く設定したり、売却によってキャピタルゲインを得たりするという手法などは、その典型です。

近年は不動産の証券化により金融業とのビジネス融合もみられる

また最近では、不動産の証券化によって資金を調達することも増え、新たな金融手法を用いることによる金融業とのビジネスの融合も見られるようになってきました。
不動産・建設業界で働く企業弁護士は当然のことながら、不動産・建設に関する基礎知識が不可欠です。宅地建物取引業や建築基準法関連の法的知識を備えていることはもちろん、一定の技術的な理解も必要とされます。また、技術的な知識に関しては専門的限界があるため、1級建築士など他の専門職種と協同して働く機会も多くなります。

収益増加に寄与する戦略的な法的アドバイスが必要

不動産の証券化を手がける企業であれば、金融業者としての顔ももちますから、こうした企業で働く企業弁護士には金融商品取引業法についての知識も要求されます。従来から不動産は安定資産として重要視されてきましたが、今後は投資対象としても重視される度合いが高くなり、さまざまな金融手法とクロスオーバーして、不動産業と金融業の垣根はますます低いものになっていくものと予測できます。
そのため、収益増加に寄与する戦略的な法的アドバイス能力がますます必要になるでしょう。

法律関係は複雑化しやすいという不動産の特徴から、紛争解決手段への対応が求められる

不動産の特徴として、それぞれの個別価値が大きく、土地に関しては唯一無二のものであって代替が利かないことから、法律関係は複雑化しやすいものです。そのため、訴訟はもちろん、建設紛争審査会、住宅紛争審査会など裁判外紛争解決手段への対応が求められます。不動産、債権等のあらゆる処分手続、強制執行、倒産手続の管理等の法的手続きと管理も重要な業務です。