通信業界における企業弁護士の業務

通信業界に競争を促す政策がとられ、企業弁護士に事業法に加えて競争法についての知識も求められる

通信業

通信業界は電気・ガスなどとともに公共性の高い事業であり、かつては国による強い規制がありました。しかし、現在では技術革新と規制改革によって大きく様変わりしました。
新規業者が数多く参入し、インターネットや携帯電話といった新しい技術が登場して、これまででは考えられなかった法的課題が続々と登場しているのです。従来は公共性確保の色彩が強かったこの業界でしたが、近年では競争を促す政策がとられ、そのために企業弁護士は事業法に加えて競争法についての知識が求められるようになりました。

通信の秘密と権利侵害の救済の間に立って判断する通信業界の企業弁護士

通信業界で特徴的なのは、通信の秘密です。憲法上の保障はもちろん、事業法においても刑事罰を含む厳格な保護が定められて来ました。その一方でプライバシー権、著作権などの権利侵害に対応するプロバイダ責任制限法が制定され、企業弁護士は通信の秘密と権利侵害の救済の間にたって判断することを求められます。
個人情報保護法など情報セキュリティの分野も重要度を増しています。個人情報漏洩は企業の社会的責任を問われる事件であり、通信事業者の社会的信用を失墜させ、法的責任にも直結します。

通信事業の技術革新による変化の中、法的課題を考慮し利益拡大のため最適な判断をする

通信事業の技術革新による大きな変化はまだ始まったばかりと言ってよく、業務内容は流動的です。光ファイバーによるブロードバンドの普及、次世代ネットワーク、通信と放送の融合など、次々と技術的、法的な変化のうねりが押し寄せています。業種を超えた競争の激化、大規模な再編なども予想できます。それだけに先例がまだあまりなく、その中で法的課題について考慮しながら、利益拡大との兼ね合いの中で最適の判断ができる力を求められます。
新規のインターネットサービスが生まれ、音楽や映像の配信も含め、さまざまなビジネスモデルが誕生することから、それに対応した法的スキームの制定は必須です。規制機関、多くのサービス業者、メーカー、顧客など、かかわる当事者は多岐に渡り、それらと粘り強い交渉を継続して行うことも欠かせません。

国も法的整備に力を入れており、国際契約など海外の競争法や通信法を調査する必要もある

国も法的整備に力を入れているところであり、各種の審議会や研究会などを含め、関係する各省庁、公正取引委員会、業界団体などのガイドライン策定に参加し、この業界の新しい法的な枠組みを作っていくことに協力することも必要です。
国際契約を扱うことも多く、海外の競争法や通信法を調査する必要もあり、英語力と英米の関係する基本法への基礎的理解も求められ、これからは中国法の知識も必要になってくるでしょう。